JUNICHI SUEZAKI ARCHITECTS

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

戸塚の住宅


神奈川県横浜市戸塚の丘の上にあるマンションの一室をリノベーションするプロジェクト。
クライアントは、夫婦+子供2人の4人家族である。子供の成長など、生活スタイルが変わり続ける、その生活を包み込む事ができる様に設計を行った。
廊下を介して各室に繋がり、突き当たりがLDKというオーソドックスな平面形式とした。
改修では既存躯体があり、面積の上限が決まっている。そこでLDKは、『整えること』により、数字上の広さと共に、体感的な広さを追求した。凹凸がある空間は物のレイアウトに制約が出やすい為、数字上の面積を追求して計画するより、多少床面積を削っても整形の空間の方が有効に使う事ができる。
具体的には、バルコニーとLDKの間に、大きな建具(窓や戸など)を設け『インナーテラス』を計画した。建具により、LDKの形状を整形に整えるとともに、大きな開口部に建具がある事で体感的な広さを生む。また、『インナーテラス』は、外部と室内とのバッファーゾーン(緩衝空間)となり、空調効率も向上するような計画としている。広い5枚建の建具がある面は、既存の面に比べ、視覚的に大きく広がりのある空間になることを狙った。
廊下は、ただの通過動線とならぬ様に、グリッド状のフレームを持った面として計画した。フレームは目地材や建具の枠、取手になっている。壁と建具をフレームを持つ面の集まりとして構成することで、将来壁の色を変えたい場合のガイドとして利用したり、子供の絵を飾る場合のフレームとしたり、年月により変化する家族のさまざまな『枠』として利用する事ができる。
壁、枠、建具という小さな面の集合に囲まれた廊下ではなく、グリッドが引かれた大きな面に囲まれたひとまとまりの空間となるように計画した。また、このグリッドの高さは揃え、幅はランダムにすることで、歩くと独特のリズムがある空間となっている。
オーソドックスな平面計画であるが、それを構成する要素は、将来の家族の変化を取り込めるような可能性を含んだ計画を行った。
また、改修にあたり、コストを抑えるために、規格サイズの材料の利用、大工工事としても高い精度が保てる様な家具の設計、既存下地の利用など、工務店と細かに打ち合わせを行い、コストバランスを調整し、給湯器、水回り(風呂、キッチン、トイレ)などを含むフルリノベーションを実現することができた。


所在地 :神奈川県横浜市戸塚区
主要用途:住居
工事種別:改修
施工面積:75.96㎡
設計監理:末﨑潤一建築設計事務所
内装工事:株式会社 アーキスト
設計期間:2020.03. - 2020.08.
施工期間:2020.08. - 2020.11.